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活版校正機、空を飛ぶ。

2012年02月03日 20:30

吊られた校正機

 祖父が使っていた活版校正機を修理に出すことにした。
 祖父・勝郎は、退職後の大半の時間とエネルギーを活版印刷に費やしたといっても過言ではないだろう。自分の思い出の記や旅行記に始まり、山田政平著『中華料理の作方百六十種』の復刻や人から頼まれた物まで、それは素人の趣味の域を大いにはみ出た「仕事ぶり」である。ご飯と三時のおやつと散歩以外、日中はほとんど印刷室にこもりきりだった印象がある。

スロープを使い印刷室から外に出した。

 そんな日々も、やがて終わりを告げる。最初にガタがきたのは校正機の方だった。もともと中古品だったので、祖父が色々工夫をし、半ば無理矢理使っていたのだが、いよいよ動かなくなってしまった。その頃たぶん祖父が90歳ぐらい頃であった。あれだけ印刷室にこもりきりだった祖父が、印刷室に行かなくなり、はたして何をして過ごしていたのか。僕は全く思い出せない。そして98歳で祖父が他界すると校正機は、徐々に家の人の物で埋もれていった。結局うちの活版機材は、僕が結婚して、妻が活版に興味を示すまで、ずーっと埋もれ続けることになる。
 月日が流れ、うちの印刷室は祖父がいた頃のように、とまではいかないが、使われるようになってきている。時々思うのだが、祖父の念が未だに印刷室に渦巻いていて、それが僕達に印刷をさせているのではないか、と。(草)

トラックの荷台に載せられた校正機。

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